――― Which is real intention ?

「うわっ・・・!」
ドロッチェの体から飛び出して目の前に現れた黒い星にカービィは驚きの声を上げた。

黒い星は彼らを一瞥すると、この宇宙の奥へと飛び去って行った。まるで誘っているかのように…
カービィは遠ざかっていく黒い星を呆気にとられたまま見つめていた。

「・・・うっ」
気を失っていたドロッチェが意識を取り戻したようだ。とはいったものの、普段使えないほどの力を酷使させられたせいで相当弱っているようだ。
カービィがそんなドロッチェに気がついたのか我に返って彼の方に振り返った。視線が合う。

「…使え」
数瞬おいてドロッチェはカービィへと自分の武器―トリプルスターを放り投げた。
カービィはワケのわからないままそれをキャッチした。
本当は自分で奴にカリを返したいところだが、今の状態ではとてもできそうにない。
カービィは今までああいった類の敵を倒してきたとのことだから今回も行くのだろう…
自分の武器でヤツに報いることができるのなら…そんな想いもあってかトリプルスターをカービィに託したのだ。

●どちらを選びます?→ -シリアス風味- -ギャグ-














●シリアス風味


「行くんだろう…?”星の戦士”」

少々皮肉めいたようにドロッチェは言った。

”星の戦士”と呼ばれた者―――カービィは受け取った杖をしばしの間見つめ、意を決したように頷くと、

「うん!頑張るよ!これ借りるね!」

と元気良く黒い星のもとへと駆け出して行った。
カービィをそう突き動かす何かが彼の心にはあるのだろう――---そうでなければ得体の知れないモノに向かって行く元気なんてそう簡単には生まれない。

「俺が原因……だよな」
幾分か申し訳なさがこみ上げてきた。同時に思い出したかのように体を倦怠感が襲う。ドロッチェは傍にあった小さな岩に背を預けた。
彼方から団員たちが駆けてくる音がする。自分の名を呼ぶ声もすることから、あと数十メートルでここまで辿り着くだろう。
心配性なあいつらのことだ、もうしばらくはプププランドに滞在して療養するよう言ってくるに違いない。

「ケーキでも贈ってやろうか・・・?」


おしまい。

ギャグってみる / あとがきとか言い訳とか














●ギャグ


カービィはドロッチェのもとに向かって来て・・・

小さな両手で彼の胸倉を掴むと

「ぼくのケーキはっ…!!??」
「え;」
差し迫った顔で、しかも目が少々潤んでて。
カービィにしてみればケーキのためだけにはるばる宇宙までやってきたのだから当然の質問なのかもしれない…が。

あいつを倒すために追って来たのではなかったのか…?そう思っていたドロッチェは想定外のことに一瞬思考が止まってしまった。
ねぇ!?ねぇ!?と問いただすその間にもカービィはドロッチェの体を揺さぶるものだからドロッチェにとってはたまったものではない。
しかもトリプルスターを持ったままなのでくるくる回る星の光が近くて眩しいのだ。あぁ持ち主によって使用方法が異なるのか…と少し思考が働き始めたが。
このままカービィに揺さぶられていては体力が持たない、と

「いい…のか?」
ドロッチェはわずかに残っている力で手を挙げて自分を操っていた黒い星が去って行った方角を指差した。

ようやく答えを得られたと思い込んだカービィは、
「え?」
きょとんとした顔をしてやっと手の動きを止めた。ドロッチェが示している方角を一瞥して彼の方に向き直ると、

「そっか!あいつなんだね!?」
頭にひらめいた時によく漫画で見るような電球を浮かべて、急にキリっとした顔つきになるとようやくドロッチェから手を離した。

「いや、違「よーし待っててね!ぼくのショートケーキ!」
ドロッチェの否定の言葉も聞かずにカービィは黒い星のもとへと駆け出して行ってしまった。

「…はぁ。」
一人取り残されたドロッチェは疲労のためか解放された安堵のためかどっちともとれるようなため息をついた。
その後肉体的にも精神的にも限界に達していた彼が再び意識を手放したのは言うまでもない。まもなく助けに来てくれた団員達にひどく心配されたんだとか。

「あれ…?星3つ出ないよなんで〜??」
走っているカービィには自分の周りの星が見えていないらしい。


おわり。


ちょっとシリアスってみる / あとがきとか言い訳とか